「俺は優しくなんかない」
「嘘だぁ………」
「あー、だったら雪那、限定でだな」
瞬きをする度にポロポロと涙が溢れていく。枯れたはずの涙は、慧斗のせいで蘇ってしまったんだ。
無意識に慧斗を抱き締め返していた。
「さぁ………帰るぞ」
慧斗は、あたしから離れるとその大きな手であたしの手を繋いだ。
ギュッと握られる手をあたしはゆっくりとしっかりと握り返した。
「これで、ずっと一緒だ」
暗い夜道を二人で歩く。
勿論手は繋がれたまま離されることはない。
「一つだけ聞いて良い?」
「ん?」
何だ?と慧斗はあたしを見下ろす。


