雪那という心のある人間だ。
どうして足枷になることがあろうか。
慧斗は、距離が出来たのを再び埋め、優しく抱き締める。
「だから、帰ろう」
「……っ」
「皆、待ってるから」
親父も母さんも姉貴も兄貴も。
月や黒龍の皆も待ってる。
「………でも、」
「俺がクリスマスにこれを贈ったのは別れるためじゃない」
慧斗はわたしと左手をとると、その薬指に光る指輪を優しく撫でた。
どうしても外せなかった指輪。
「これは、ずっと一緒にいるって誓いだ」
「え……?」
「俺は、執着心が強いんだ」
ニヤリと慧斗は笑う。
なんでこんなにも君は
「優しすぎるよ………」
視界が滲んできた。
いつの間にあたしはこんなにも弱くなっていたのかな。


