『離れる』


昼間月に送ったメールはそれだけだった。全てを知ってる月は、何も聞かずこうやってあたしの頼みを聞いてくれる。


心の中では不満で一杯なんだろうと思う。でも、あたしが嫌だから。
足枷にはなりたくない。
別れるなら……今別れたい。


どうしてあたしだったんだろう。
あたしでなければいけなかったのだろうか?
そう問い掛けても答えは返ってくることはない。


あたしは、バイクに乗り風の中を走りながら今見える景色を目に焼き付けておこうと思ったけれど、真っ暗なので何も見えない。


………最後なのにな


あたしは溜め息をはくと、ゆっくりと目を閉じた。


瞼の裏では今まであたしが記憶に焼き付けてきた景色達が一枚一枚写し出されていた。