「………月ちゃん、」
「念の為よ」
小声でポツリと言う。
念の為って室内なのにな。
「月はなんでいるんだ」
向かい側のソファーに座り足を組んだ慧斗は、お前のチームじゃないだろ、と軽く睨む。
「姫に会いたいって」
それに答えたのは遠矢。
その顔はなんだか納得いかないみたいだ。
「………安静にしてなきゃいけないのに」
小さく聞き取れないくらいの音量で、あたしは、あぁ、と納得。
心配なんだ遠矢は。
月ちゃんも怪我あるのにあたしなんかに会いに来たの?
「月ちゃん、」
「ちょっと話があってさ」
話。
月ちゃんの様子を伺うとちらちらと周りを見ている。
………慧斗達には聞かれたくないもの?
