「………うん」
脱衣場で降ろされたあたしは、離れていく温もりに名残惜しく感じるけど、大人しく頷いた。
着替えは、少ししたら置いとくと脱衣場から出て行く慧斗を見送った後あたしはいそいそと服を脱いで風呂場に足を踏み入れた。
一人で入るには大きすぎる浴槽には並々とお湯がはられていて、湯気が出ている。
あたしは、一通り体を洗い、一息ついてから、ふと鏡に映る自分を見つめた。
「………なに、これ……」
目に留まるのは、首筋から胸のあたり。赤い痣みたいな花が幾つも散らばっていた。
そっと触れてみるとフラッシュバックするあの光景。
「………っ気持ち、悪い」
金髪がつけたものだ。
あたしは無意識にそれに爪をたてていた。