あたしは、感じる温もりにすがりつくように慧斗にすり寄った。


倉庫には一台の黒塗りの高級車が止まっていて、それは見たことのある車だった。運転席から一人の男の人が降りてきて後部座席のドアを開けてくれた。


「お帰りなさいませ」

「家まで急ぎで」

「はい」


慧斗はあたしを抱えたまま座席に座る。
少しして運転席に男の人が乗って車がゆっくりと動き出す。


家に帰るまで、慧斗は決してあたしを離そうとはしなかった。
勿論あたしも慧斗から離れようとしなかった。






「………風呂、入ってこい」


少しだけ慣れてきた大きな家に帰ると慧斗は真っ直ぐあたし達の部屋に備え付けられてあるお風呂にあたしを連れて行った。


今日は、先生も、お母さんも用事でいないらしく、お手伝いさんとあたし達だけみたい。


執事の深見さんは、温かい飲み物を用意してきますねと優しい笑みを向けてくれた。