「格好いい~」
キラキラと目を輝かせながらバイクを眺めていると、慧斗は無言であたしにヘルメットを被せた。
「うわっ」
「忙しい奴だな」
呆れたように薄く笑う慧斗は、あたしの腰を持つとひょいとバイクに乗せた。
「力持ちだね」
「お前……軽すぎ」
飯食ってんのかよと軽く睨まれた。何だかお父さんみたいだ。
「ちゃんと食べてるよー」
「………」
慧斗は、はぁ、と溜め息をはくと、自分もバイクに跨った。それからあたしの両手を掴み、自分の腹の前で組ませる。
「ちゃんと掴まっとけ」
「はーい」
ギュッと返事をしながら慧斗に抱きついた。それを確認してからバイクを走らせる慧斗に、あたしはそういえば、敬語途中から止めてたなぁ、ま、いっか!と呑気に考えていた。


