「ふーん……」
「あいつはほっといていい」
慧斗は、あたしの頭を撫でながら言う。
「どうして?」
「見れば分かるだろ?あいつは、こっち側の人間だぞ」
俺達に及ばなくてもそれなりに戦う力を持っている。
慧斗は、あたしが怪我をしたら嫌だと言う。月の我が儘に付き合う必要はないと。
「もし、行ったらあたし、殴られたりする?」
「月ならやりかねないねー」
「んー」
苦笑する奏に、あたしは決めた。
よっと慧斗から離れてソファーから立ち上がる。
「雪那?」
「ちょっと行ってくる」
「は?」
あたしは、ドアまで歩いて、部屋を出る前に慧斗達に向き直る。
「なんか、楽しそうだもん」


