「どうした、月」
対して慧斗は、動じた風なく、無表情で月という子を見る。その顔は、総長の顔だった。
「へ、変な噂を……」
「変な噂?」
「慧斗に、女………女!!」
月は、あたしを見るなり叫ぶ。
人を指で指したらだめだって習わなかったのかな?
「ど、どうしてここに女が居るの?!」
わなわなとあたしを指差しながら震えている月。
「あたし?」
「雪那ちゃんは、慧斗の姫だよ」
「奏、おかえりー」
月の後ろからいつもの笑顔でただいま、と入ってくる奏。
「慧斗、のひ……め……?」
今度はピシッと固まる月。
一体なんなのかな、この子。


