遠山を脅して屋敷内に入った翔平。


幸い今二人の父親である耕平は署に少しの間行っていると。




「で、反頭は本当に自殺だったわけ?」




ガラスの破片が散らばった長い廊下を歩きながら翔平は遠山に聞いた。



「いや、自殺にしては不審な点がある。今のところ、他殺で捜査されている」




「不審な点って何ですか?」





翔平の腕に抱き着きながら叉奈が聞いた。



「自殺だったとしたら、その引きがねになった事があるはずだがそれは見当たらない。
そしてここを選ぶ理由もわからない。遺書もない。


事故って事もあるかもしれないが、それはない」




「何故ですか?」




「死因は頭蓋骨骨折。だが、身体の至る所から刺し傷があった。放っておけば出血多量で死ぬくらいのな」



「自殺だったらわざわざそんな事をするなんて考えにくい。ましてや事故なら尚更か・・・」





翔平が言った。




「さらにその傷、全部致命傷ではないんだ。わざと痛め付ける為に外したように」




「・・・考えただけでも痛い」





うわーと顔を歪め、ギュッとさらに抱き着く力を強めた叉奈。




「それにしても、いつもより素直にベラベラと話してくれたね。それ、秘密事項なんじゃないの?」





チラッと遠山を見ながら翔平がいうと、遠山は前を向いたまま言った。



「素直にしなきゃ、話すだろ。どっかの誰かは口がゆるーいそうでね」




「おー。何処の人なんだろ」





笑みを浮かべながら翔平が言った。