突然訪れたミュリエルから、大声で怒鳴られた。



「ラナが明け方城を出るそうです」

「明け方?」

「スティーク様は、スティーク様はこれでいいんですか?

たったひとりの大切な人も…幸せにできないんですか?」



「本気でぶつかったラナに対して…あなたは本気で受け止めたの…?」――…



…――昨晩の事を思い出し、スティークの胸はじんわりと温かくなった。



ヴェルヌといいミュリエルといい、本当に自分はいい友を持った。



「俺はもう逃げない」



今君に気持ちを告げる事がどんなに大きくて、重大な事かわかってる。



それでも、



「簡単な事じゃないってわかってる。それでも俺は…」



もうこの気持ちを隠さない。



「君を愛してる…」