「おー!ヒナちゃんおはよー!」

英梨が行ってしまった後、自分も教室に入ろうとした瞬間
声を掛けられた。

“ヒナちゃん”わたしの事をそう呼ぶのは…

「ぁ…お、おはよう…河本、くん…」

そう、松本君の親友の河本くんだ。
彼は私たちの事を知ってから、私の事をコヒナタのヒナの部分をとって“ヒナちゃん”と呼ぶようになった。

ふと河本くんの斜め後ろに目をやると、松本君も居る事に気がついた。

こうして廊下や教室で顔を合わせた時は、アイコンタクトで挨拶する事が多い。


「じゃあな、龍之介!行こうぜ、ヒナちゃん。あ、ヒナちゃんさー、数学の宿題やった?見せてくんない?」

「ぇ、あ…うん……」

教室に入る瞬間、松本君の方を見ると目が合った。

(もう少し顔見たかったな)

河本君が私たちの事を配慮してくれてるのは凄く有難い。
寧ろ、河本君が配慮してくれなかったら、私たちは見つめ合ったままで
周りから不審がられてしまうだろう。

「ノートさんきゅ!ヒナちゃんのお陰で助かったー!」

「ううん…」

「ヒナちゃんのノート見やすいし分かりやすいよなー。」

「そんなこと…」

“ねぇ、ヒナちゃん!私にも見せて~!”
“あ、俺も俺も!”


最近、河本君のお陰でクラスの皆と打解けられてきた。
皆が私の事を“ヒナちゃん”って呼んでくれて…
本当に、河本君には感謝しきれないくらいだよ。