空耳、だよね。
いきなりそう聞こえたからびっくりしたよ。





美咲ちゃんがそんな事、言えるはずがない。





あたしは元いた場所に戻った。






「あの、終わったよ」




暗い部屋から出てきたのは、やっぱり気弱な美咲ちゃんだった。





やだな、あたし。





こんな事でビビるなんて。




あたしらしくない…





「おせーんだよ。さっさと出ねぇと鍵閉めるからな」
「はい…」





―あの言葉、空耳なんかじゃなかったってことを気付いたのは、もっと先になる。




そう。
現実だったんだ…