「……何泣いてんだよ」 猫かぶり王子は私の隣りに来ると、少し低い声でそう言った。 「……何でもないよ」 私は校庭を眺めながら言った。 「何でもなくねーだろ」 「…………」 私は何も言えなかった。 だって、猫かぶり王子の目は私をしっかり捉えてるから。