感じ悪くなってしまった。


性格悪いってイメージがついちゃったらどうしよう。
意地が悪いと思われていたら、どうしよう。


そんなことばかりが頭を駆け巡って、真っ白になってしまう。





恋をすると、

こんなに馬鹿になってしまうの?




何度か愚かだと蔑んだヒロイン達に心から謝りたいと思った。

なぜなら、彼女達よりも、もっともっともっと、今の自分の方が愚かだからだ。




「いや、いい!」






「え?」












――多分、


彼は、すぐに返事をくれた。
……「即答」といえる程に。


あたしがたくさん考え事をしていたにしても、実際にはそれはほんの数秒間だ。

焦りを含んだ彼の声色に、あたしの胸はなぜか高鳴った。





(……『なぜか』、なんて)



――すっとぼけた。




本当はわかってる。
『なぜか』じゃなくて、
『嬉しかった』からだって。



その台詞に含まれた彼の本意はあたしにはわからない。

だけど「断られた」んじゃなくて、それはあたしには


「またね」


と同じに聞こえてしまった。




自分でもなんて都合のいい耳なんだと思う。

…いや、思考か。


本当は彼は、貰うことを断る意味であぁ言ったのかもしれなかった。

それでも。