「胡桃ちゃんは誰を見てんの?」




またグッと一層力を入れて、君沢くんは私を抱き締めた。




「離してっ…」




君沢くんは私を解放すると、私を真っ直ぐ見た。




「俺、東條さんに負けないから」




彼はそう言って歩き去った。




君沢くん…、私の気持ちに気付いてる?




この時、私は東條さんが影で見ていたなんて気づきもしなかった。