手の中で、ライターの火が、ついては消え、つけては消していた。

もうすぐ、煙草もなくなる。

そうしたら、私はどこに行こう。


時計はすでに午後をまわり、外は相変わらずの吹雪で、店内に客もまばらなままだった。
さっきから、いつまでいるんだと社員のような男性店員の目が私に向けられているので居づらさは感じていたけど、誰もいなくなるよりは、少しかサクラみたいな感じでましじゃないの?と思い直してみると、煙草を買ったらまたここに戻ろうと思った。

学生が増える頃に、帰ればいいんでしょ?

「帰る」・・・か。

ため息をついて、ケータイを見たけど。
誰からの着信も、メールもなかった。



「行くところ、ないの?」

そう声が聞こえて、私は顔を上げた。

私の向かい側の席は、空席・・・のはずだったのに。




――いたのは、「私」だった。