『どうしてこんなことに…』 『俺のほうが知りたいよ!!』 こいつらは、勝手に死んだ。 残された者の気持ちを考えもせずに、 打ち明ける勇気もなく。 妻の横で春の汚い雪解け水にだらしなく倒れた男、 俺はその男の唇ばかりに目がいった。 同じように、 俺の隣でこの男のかみさんも、妻の顔をまじまじと見つめながら、 吐き気をこらえているようだった。