『指…氷みたいにカタイ……』

そう呟いて、彼女は僕の指を噛んだ。

僕の指を味わう彼女の舌は熱く、柔らかく、

僕の指はそのぬくもりのせいで、忘れていた余分な熱を持った。

麻痺していた感覚が蘇り、

突然、この場所に彼女と二人きりになる事が不安になる。

僕が足を止めると、

『……埋まるよ、立ち止まれば、埋まる。こんなとこじゃ、だめ。もっとよ』

そう言って、僕の腕を強く引いた。


――とうに日は落ち、辺りは蒼く、雪は徐々に重みを増して、僕らを闇に呼び込む。