小さな私の足跡は、靴裏の形をすぐに溶かして平らにした。


じわりと冷たさを感じるけど、それはすぐに痛みに変わる。

感覚はなくなり、膝まで痺れていく。



真っ白な道にのびる足跡は、降り止まない雪で次々と消されていく。

追い掛けても、どちらも見えなくて、

私の足も、もう動かないくらい雪に埋もれて、

二人の足跡があったであろう場所に倒れこむと、そこが一番温かくて、


人肌より


言葉より


優しさより


自分の涙が



一番冷たくて、



私はどちらも愛していなかった。
『あなたじゃなくちゃダメ』なんて、結局誰にも言えなかった。

ただ、

宇宙旅行が好きなだけだったんだ、と、

私に降る冷たい星屑に身体を預けたら、最近で一番よく眠れる夜を迎えて

安心して、目を閉じた。



瞼を開いても、閉じても、真っ白だった。





   −fin−