目の前に並ぶ古い商店街も、遠くに重なる山の緑も。


ここは何となく、僕の住む土地に似ている。

だからなのだろう、他所に来た感じがしない。


まぁ、その方が僕にも好都合なのだが。




「宗久!」


呼ばれ、声のする方へ視線を向けた。



駅前の小さな駐車場。

その中、手を振り歩み寄って来る人物。




赤島先輩だ。

大学ラグビーをしていた先輩は、僕の記憶では身体が大きく、たくましい印象だ。


ボールを抱え、敵を振り切り猛進する姿が記憶に焼き付いている。





だが、どういう事だろう。


先輩は、一年前とは変わっていた。


身体が一回り小さくなってしまった感じだ。

痩せてしまったのだろう。


その為か、35歳という年齢より老けて見えた。

骨が目立つ頬も、短髪に混じる白髪も。



力強い呼び声と反し、見かけはまるで、病気ではないかと思える程に……。



「宗久、来てくれてありがとう!待っていたよ」

「お久しぶりです、先輩。もっと早くお伺い出来れば良かったんですが…」


不安を心中に押し込み、笑って見せた。


僕の返答に、そんな事は無いと先輩は首を振る。