「いかがでした、あなた。赤島さんは、お元気になられましたか?」


手紙を読む僕の顔を覗き込んでくる妻。

生返事を返しながら、右手で夕飯のおかずである大根の漬物をつまんで口に運ぶ。

行儀の悪い、と僕の右手の甲を軽く叩く妻を見つめた。



「瑞江さん」

「何ですか?」

「先輩に会いに行ってもいいでしょうか?」


首を傾げる妻に、先輩からの手紙を差し出した。

それを受け取り読み上げた妻は、小さく笑う。



「わたくしに許しを得る前に、あなたは決めていらっしゃるのでしょう?」

「はい」

「あなたにしか出来ない事なのですね」

「おそらく」

「無理はしないと、お約束して下さる?」

「勿論ですよ」



笑い頷いた僕につられたのか、妻もまた、やんわりと美貌に笑みを乗せた。



「なら、行って差し上げて下さいな」



その代わり、クリスマスイブが過ぎてから、年末までには戻って下さいね?と言われたが。


仏教徒なのに…。

しかし、息子も楽しみにしているのだから仕方が無い。





学校が冬休みに入ってから、尚且つクリスマス以降年末前までと言う期間を条件に、僕は先輩に会いに行く事となった。