「それでも、孤児を引き取り、施設を作ることで君達は多額の資金を、子供達の縁者、檀家から受け取っているんじゃないのか?」
しかし、キアランも黙ってはいなかった。
キアランだって勉強もせずこの活動に手を出したわけではない。
資料の中には、収容する子供達の数を増やし、国から多額の援助を支給されている施設だってあった。
その支給額に見合うだけの、子供達に対する配慮や環境整備がされているかなど解りもしないのに。
「君達がしている「これ」を、偽善ではないとなにが証明できる?」
キアランの物言いは、「チィネエ」に殺意を湧かすには充分なものだった。
今すぐこの目の前の男を殴って、黙らせてやりたい、という顔をする。
(―――じいさんばあさんが子供達へ向ける、あの穏やかで優しい目を、見たこともないくせに)
「チィネエ」の目は、それを如実に語っていた。


