ラヴレス






「フィーが作るフラワーアレンジメント、私は凄く好きだよ」

それに、ソフィアは本当に花が好きなのだと短い付き合いとはいえ、智純は知っている。
庭に出て様々に誇る草木の名前を智純に教えている時、ソフィアは一番に可愛くなるのだ。

邸の所々に飾ってある生花やドライフラワーは、ソフィアが作って飾っている。
照れながら教えてくれたソフィアを前に、こんな綺麗なものを彼女が作ったのかと、純粋に感動した。


「…いつか私がヨメに行くことがあったら、花嫁ブーケお願いね、先生」

にやり。
結婚する気など微塵もない癖に、知純はジョークを交えてソフィアを見た。

口角が釣り上がった知純の笑みは、決して柔らかで優しいものではないのだが、何故かソフィアの胸をぽかぽかとさせる。

ソフィアもまた、知純を姉のようだと感じているのだ。


「チフミ!」

そして知純は、感極まったソフィアにハグされキスまでされた。

知純の他愛ないお喋りや、ソフィアを貴族のレディーとしてではなく、ただの女の子として向き合う態度。

そんな些細なことが、ソフィアが知純にべったりの理由だと気付いているのは、今のところジンだけである。