なにより知純は、そんなキアランが少しだけ羨ましかったのだ。 ―――自分の全てを賭けてでも幸せにしてあげたい「誰か」が、居ること。 (母さん、私にとっての貴方が、一番の「誰か」だった) 今更、ぐちぐちと彼女を偲ぶつもりもない。 大切な家族なら、日本に居る。 けれどそれでも、知純にはアランの為に真っ直ぐに走ったキアランが、羨ましく見えたのだ。