秋は深まり
冬の入口があたし達を待ちわびてる。
木枯らしが音を奏で
あたしの足元から消えた。
「今日はすごくいいお天気だね。」
11月。
そうくんが入院して
あれから2ヵ月以上が経って。
あたしは今日も
この場所に辿り着く。
「今日はね、三者面談だったの。」
そう言って
あたしはパイプ椅子に腰を降ろす。
受験を目前に控えたあたしは
今まで以上に張り詰めた空気の中
大学に行く事を決めた。
特にやりたい事も
未来も見えていないけど
焦る必要はない。
ゆっくり
歩いて行こうと決めたんだ。
「そうくんは進学?それとも就職かなぁ。」
話したい事はたくさんあるのに
ずっと一方通行のまま返事はない。
それでも
あたしは話し掛ける。
早く起きて。
そう祈りながら。

