「変わりましたね。」
「……。」
「琉依も。…葵ちゃんも。」
俺は何も言うことが出来ずに、俯いていた。
「そういえば…愁が泣いていましたよ。」
「……は?」
「“葵に酷いことをした”とか……何のことでしょうね?」
愁が…?
葵に悪いことをしたって……
俺と葵のことに何か関係があるのか…?
プルルルル───
「…噂をすれば」
翼が俺の携帯を奪って、通話ボタンを押してからこちらに投げつけてきた。
手の中で愁の声が聞こえてくる。
「…もしもし……?」
「先輩…今から駅前に来てください。」
「は?なんで…?」
「何でもいいですから、早く来てください。」
「…わかった。」
電話をしている間に翼はまた何処かへと消えた。
「…んだよ」
「あぁ〜…ちょっと待っててくださいね。」
「は?あっ…おぃ!」
駅前に着くと
俺が着いたのを確認したかのように、愁はいなくなってしまった。
ったく何やってんだよ…
駅前には噴水があって、俺はそこの近くにあるベンチに座っていた。
「……話って何…?」
えっ…
聞き覚えのある声。
心拍数が急上昇して
咄嗟に俺はベンチの影に隠れていた。
なんでここに…?
「…先輩と仲直りできた?」
「無理だよ。…連絡とっても出てくれないもん……」
やっぱりそうだ…
「あたし…酷いこと言っちゃったから……」
違う。
「先輩呆れちゃったんだよ…」
違う。
葵が悪いわけじゃない。
呆れたりしてない。
今にも崩れそうなその背中を、抱きしめそうになる。
それをぐっと堪えた。

