どうして幸せはやっと掴んだと思うと
まるで空気のように逃げて行ってしまうんだろう…
先輩の一言は余りにも重くて、
冗談として受け流すにはあたしにとって、苦し過ぎた。
「アメリカにさ…父さんの会社があるんだ。将来はそこを継ごうと思ってる。だから、今のうちに慣れておいた方が良いって。……ビックリした?」
ビックリしたどころじゃないよ…
なんか色んなことが頭の中を駆け巡って、何が何だか分かんない。
「あたし…」
琉依と別れるの…?
「葵は手離さねぇよ。だから言っただろ?葵が16になったら結婚しようって。忘れた?」
大きく頭を横に振った。
忘れたことなんてない。
ずっと覚えてた。
「葵が16になったその日に迎えに行く。だから、それまで待っててくれるか?…つか、待ってろ。」
冬の風が髪を撫でて、琉依の整った顔が良く見える。
なんでこんなキザな台詞をスラスラ言えちゃうんだろ…
「…ずるい。」
「は?」
「ずるいよ…!!」

