「あたしが払いますから…!」
あたしのお財布に伸びた手を先輩の手が止めた。
顔を上げると、先輩が笑っている。
「払うから。つか、俺が葵に払わせると思う?」
「思う…思いません…」
先輩はあたしの髪を軽く触って、
レジへと向き直った。
先輩に触られた部分から、先輩の手の暖かさが広がっていくようだった。
「あっ、ありがとうございました…!」
「いいって。ほら、他は何処行くんだよ?」
えっと…
服はOKでしょ?
化粧品はたぶん大丈夫。
あとは…
「…ここ!」
「ここ…って美容院じゃん。」
そう。
あたしが入ったのは、ちょっとオシャレな美容院。
入った瞬間に、シャンプーの香りが漂ってきた。
「なんで美容院?」
「だって…」
こんな可愛い服を買ってもらったのに、
髪がボサボサじゃ、嫌だもん。
だから、エクステをやってもらおうかと思って。

