この手を離したら
葵はいなくなってしまう。
そんなことわかっていたことなのに…
なんで俺は離してしまったんだ…
なんで泣いているアイツに何も言ってやれなかったんだ…
「…くそっ…!」
壁に打ち付けた頭の痛みよりも
心が痛かった…
「…先輩…!!先輩!」
「え…」
目の前には白い天井。
愁が心配そうに覗きこんでいる。
起き上がろうと頭を持ち上げるとズキッと鋭い痛みが走った。
「いたっ…」
「安静にしていて下さい。ったく、僕が来なかったらあのまま廊下で倒れているところだったんですよ?」
倒れてた…
俺が…?
「ご、ごめん…」
「先輩までいなくなっちゃったらどうしようかと思った…」
先輩まで…?
「あ、葵は…?!」
俺がそう叫ぶと皆して顔を見合せている。
もしかして…
俺が倒れている間に…
「ちょっと出かけてくると言ったきり戻ってきてないんですよ。」
「ど、どこ行ったんだよ…?!」
アイツが…
葵がいなくなってしまったら…
「俺のせいだ…」

