「え…？」

「あと、俺にも名前で呼ばせて。」

「そ…それは構わないけど…。でも…私も？」

「出来れば、でいいからさ…えっと…さ…紗衣。」


…自分で名前で呼びたいって言ったのに噛むとか…動揺しすぎだ。
こういうところもユウには絶対にダメ出しされる。


「じゃあ…ひ…大翔くん…。」

「うん。」


…なんて中学生っぽいことをしてるんだろう。
そんな自覚はあったけれど、大切な人が自分の名前を呼ぶのはどうしてこんなにも特別なのか…そっちの方が俺には不思議で仕方なかった。




「紗衣は好きになれそう？」

「え？」

「雨。」

「そう…ね…今は…好き。」

「なんで？」

「大翔くんに…出会わせてくれたから。」

「はぁー…それ、可愛すぎるでしょ。」

「えぇ!?普通のことを言ったのに…。」

「やっぱ紗衣は天然。」

「そんなことないよ。」

「…じゃ、そういうことにしておくか。」

「なっ…なにそれ…。」

「…紗衣。」

「？」

「また、ここで虹、見ような。」

「うんっ!!」



*END*