「カンナ。」

「そう!!カンナちゃん!!
ユウに用事?」

「あのっ…えっと…。」

「水無月くんの…彼女…さん?」

「雨音もそう思う?俺も実はそう思って…。」

「大翔、うるさい。」

「…あのっ…もしかして…雨音紗衣…さん、ですか?アイスプリンセスの…。」

「え?アイスプリンセス…?」

「えっと…そっ…それはなんていうか…ニックネームみたいなものでっ…
でもでも…っ雨音紗衣…さんですよね?」

「そ…そうだけど…。」

「うわぁっ!!こんなに近くで見るの初めてですっ!!
ほんとに美人さんですねっ!!お肌もすっごくキレー…。」

「あの…あなたは…。」

「雨音、悪い。こいつ、いつもこんな感じの暴走女だから。」

「ユ…ユウく…。」


まるでなだめるかのようにカンナちゃんの頭をぽんぽんと撫でるユウ。
その時の表情は生まれて初めてみるくらいに優しかった。
…特別、なんだな…カンナちゃんは。


「カンナ、行くぞ。」

「え?どこに…。」

「二人の邪魔すんなって話。」

「えぇ!?ふっ…二人は…つ…付き合って…?」

「声でかい。」


嵐のような女の子、カンナちゃんに背を向けてすたすたと歩き出したユウ。
その背を追うカンナちゃんはちょっとだけ必死で、それがすごく可愛かった。