* * *



「え?」

「放課後、晴れていたらここで。」



口から出たのはそれだけだった。
何を伝えたいのかがまとまっていない。
でも…伝えなくちゃならないことがある気がする。



「霧夕…くん?」

「ごめん。いきなり。でも…。」



彼女の目が困惑してるのが分かる。
それに…涙を堪えきれていない。
揺らめく瞳。泳がされた視線。



「聞くだけ聞いて大したこと言えないの、情けなくて。」



俺は本音を零した。
何か伝えたい。でも今、それは見えないから時間が欲しい。



「晴れた日に絶対、言うから。」



自分で言った後で気付いたことだけど、これってもう、ほぼ告白みたいなもんだ。
…雨音は天然だから気付いているかは分からないけれど。

とにかく決戦日は決まった。
この梅雨の時期に稀な、『晴れた日』
明日は土曜日。考える時間はたっぷりある…はずだ。