「噂は本当なのか?」

「本当。つーか誰?そんなのまで見てたやつ…。」

「お前はともかく、雨音は目立つ。」

「俺はともかくってところ、余計なんだけど。」

「それで、1時間何してたんだよ?」

「え?」

「何もなかったのか?」

「何も…っていうか俺、完全に寝てたんだけど…。」

「寝てた?」

「雨音と保健室行って、んで雨音には授業戻るように言って…でそうこうしてるうちに倒れて…。」

「倒れた?雨音の前で?」

「あ、うん。で、それで寝て起きたら…雨音が隣にいた。」

「…なるほど。雨音は1時間付き添ったのか。」

「え?そうなのか?」

「1時間目の間に教室には戻ってきてない。」

「…そっか。」

「話はまだだ。
傘はどうした、傘は。」

「えっと…。1年前の話、お前覚えてる?」

「1年前…ああ、雨音が雨の中泣いてたってやつか?」

「そう、それ。
この前の大雨の日もそうだったんだよ。1年前と同じ。」


本当に1年前と同じ光景だったんだ。
違うのは、雨音の髪の長さくらいなもんだと思う。