*紗衣side*


…不審に思われっぱなしなんだと思う。
だって私…泣いてばかりだ。


「…あんな避け方…っ…。」


霧夕くんは傷付いたかもしれない。
そして気付いていたはずだ。


昨日の涙にも、今日の涙にも。

その理由を聞かないのは、きっと優しいからなんだろう。

その優しさも、あの寝起きの仕草も

似てる。苦しいくらいに。

彼を思い出させる。鮮明に。

忘れたことなんてないけれど

記憶を余計に呼び覚ます。

赤の他人のはずなのに、似ているってだけでこんなに…


「涙…止まんない…なんて…。」


どれだけ泣けば済むんだろう。
他の日なら平気なのに。


どうしてもダメだ。
雨の日だけは、どうしても。