「えっ」 後ろから落ち着いた優しい声。 振り返ると、アノヒトが、いた。 「何あせってんのか知らないけど、 もっとゆっくり弾いていいと思うよ?」 「ぁ・・・どーも」 「こーやって」 うしろから、鍵盤に手を置く。 うぁっ・・・ あたしの後ろに春川くんが 来るカタチになる。 体・・・顔・・・近っ・・ 「指フニャフニャしすぎ・・・ だからフォルテが出ないんだ」 おっきくて、指が長くて、 ・・・ドキドキする。