どうしようか。




電話が無理…、なら…


メール?


「んー…。よし、それでいこう。
 ……って、なんて送ろう?」


お礼、なんだから…



『ありがとう』だよね。





“あ・り・が・と・う”


そう一言。

たった一言、望月に送る。




この『ありがとう』には、色々な意味をこめて。


「送信っと…。」


パタン…と携帯を閉じて、顔を上げた。





「…ありがとう…。」

そう小さく呟いた。




気付いてくれて、


助けると言ってくれて、


知りたいと言ってくれて、




私だからと言ってくれて。



今はまだ、
面と向かって言えないけど。


いつか、言うよ。



きっと、あなたに…─────





「ゆーい。」


名前を呼ばれ、振り返った。

「…ひなちゃん…。」


ドアの所には、ひなちゃんが立っていた。

「帰ろ?」


「うん…!」


ニコッと笑って言ったひなちゃんに私も笑顔で返した。


2人で玄関まで、並んで歩く。



「なんで、保健室にいたの?」

「あー…足、ひねったから…。」

「平らな所でひねったの?


 さすが、唯璃。」


「いや、違うよ!!
 てか、さすがって何?!」



ひなちゃんが怖いオーラをだしながら、『え?』と笑顔で言ってきたので、『なんでもありませんっ!!』と慌てて返した。




ひなちゃん、やっぱ怖いいい!!

そう心の中で叫んだ。








───ふと、

望月に言われた
あの言葉を思い出した。





『唯璃を知りたい』


そう言われた時、なんでだろう?


私も、
望月を知りたいと思ったんだ。






だからね。私、決めたよ。



私も望月のことを知ったら、勇気をだして言ってみようって。





その時は、


どうか、聞いてくださいね?







とんでもない王子様っ!!