:宮比side



瞼を閉じた唯璃を見て、



苦しそうな表情の唯璃を見て、








俺は、何もしてやれない。


言葉をかけることもできない。













………、

違う。そうじゃない。




『何もしてやれない。』



『言葉をかけられない。』





…そんなことじゃねぇよ。





俺は、唯璃に何もできてない。


………それだけだ。







全然、
すごくなんかねぇじゃねぇか。







目の前にいる人が何かに苦しんでいるのに、何もできてないんだから。






「唯璃…?」


唯璃の手を掴んで名前を呼んだ。