なんで、私は、



どうして、こんなにできないことが多いんだろう。








なんで、“あの時”


諦めなきゃ────








「…ふぅ……。」

自分を落ち着けるように、目を閉じて息を吐いた。






違うよ………

自分で諦めたんだ。





何度も、何度も。

考えたことだった。


何度も、何度も。

後悔したことだった。




『これで、よかったのか?』と。

自分で決めたことなのに。






なんて、
弱いんだろう……。






あの時、諦めたのは…、

逃げたのは、自分。






私が人を羨むのは惨めだ。

だって、叶うことは…────

「唯璃…?」




掴まれた手と呼ばれた名前に私は閉じていた瞼を開けた。

「ぁ…、ごめんね?」


どうやら、まだ望月の髪に触れていたみたいで望月は自分の頭の近くで私の手を掴んでいた。






あ、そういえば、
さらさら…だったな。




「…唯璃。」

「ごめんね、あんまり髪がキレイだったから…。
あ、治療ありがと!!じゃあ…。」



しゃがんだまま、私を怪訝そうに見上げていた望月に笑顔をむけそう言った。


そして、掴まれていた手をほどき立ち上がった。