私が魂のぬけそうな顔で教室の天井を見上げていると、

(って、どんだけ私、昼休みが大事だったんだ(笑))


ひなちゃんが話を戻した。

「で?何があったの?」

「ふぇ?」

間抜けな声をだした私にひなちゃんは深くため息をついた。


そのため息に無言の圧力を感じ、少し顔が引きつった。

「えー…と…──」

…えーと。




王子に会って、


王子に抱きしめられて、


王子にドキドキさせられて、



王子の笑顔を…──



「ッ!!!?」





なっ…!!なんだ?!


何故、今、お、おおお王子の!!!



王子のあの笑顔が浮かんでくる?!


何故ぇええ?!!



ボッと真っ赤になった私はかなり混乱した。




ちょっ、ちょっ待て!!!


お、おおお落ち着け!!
落ち着くんだ、私!!


と効果のないと思われる暗示をし


そぉーっと、ひなちゃんを見た。


そして、素早くそらした。



や、やばいよ。目、あったよ。


てか、まだ見られてるよ!!!

バシバシきてるよ!!!


ひとり混乱している私の肩にポンと誰かの手がのった。

「…神山…唯璃、ちゃん?」

その次に聞こえた私のフルネームを呼ぶ声にギシギシと音を鳴らしながら、振り返った。


「な、な、んでしょ、う?」


振り返ったときに見えたのは、キレイなお顔にゾクッとするような妖艶な笑みを浮かべた日向様。

後ろにはいつのまにだしたのか、鬼が見える。


「話して…もらおっかぁ?
 ゆーいりちゃん♪」

「…はい。」

私は引きつった顔を頑張って動かして返事をした。



ひなちゃん、♪がついている意味ないよ…。


半減されるどころか、5倍くらいだよ…





……、


私、死ぬの、かな?(泣)