:宮比side


「「王子ぃいいーーっ!!!」」


……、

王子じゃねぇ。


由輝より上をいく大声に、心の中で毒づいた。


「ぅ、わっ?!ん゙〜〜!!も、望月っ…!」

「…ん?」

小さく聞こえた、呻き声と名前を呼ぶ声に下を向いた。


「っ…!あ、えと…。く、苦しいで、す…。」


俺の腕の中にいる、唯璃が驚いたように顔を赤くしてそう言った。


なんか…、



可愛いな……


じゃなくて、

「あ…ごめん。」


いつのまにか強く抱きしめていたらしく息ができなかったらしい。


「白崎くん!!」

「な、なんですかっ?!」


下から聞こえた名前を呼ぶ声と、それに答えた由輝の声に俺は唯璃を離して、寝転がった。


「…望月…?」

唯璃は下の方にやっていた視線を俺に向けて、不思議そうに小さく名前を呼んだ。


「おいで。」

「へ…、ぇっ?!」


驚いたように唯璃は、少し後ろに下がった。



なんだ?

変なの。

「ばれちゃうかもしんないから、寝転がって。」

そう言うと、納得したのか唯璃は深呼吸して俺の隣に寝転がった。


てかなんで、深呼吸??