「王子じゃない。」


「へ?」


王子のキレイなお顔のドアップにあたふたしていた私はまぬけた声をだした。



「…王子じゃない。」


もう一度、王子が言う。


お、王子じゃな…い?

え、いや。

お、
王子だよねー…?
このキレイなお顔は。


理解できてない私を王子は、少し不機嫌そうに見た。



「王子って呼ばないでって言ったんだけど。」


…、
あぁ!!!
そ、そうだったぁあ!!


屋上に来るまでは憶えてたのに。



「あー…、ごめんね?
 で、離していいよ…?」


さっきから、気になってたこの…抱き締められている状態……。


意識しないようにしてたけど…、
は、恥ずかしすぎっっ!!!


しかも、
キレイなお顔がドアップ……

心臓に悪すぎなんだよっ!!!


「やだ。」

えぇ、そっか。




…は?
いやいやいや、


「…へ、?」

「だから、やだ。」



あれ?!
私、幻聴がぁあ?!!



…なんか、
信じたくない言葉が聞こえるよ!!