その日から俺は、毎日同じ時間にアノ教会に行った
いつも無愛想で人と関わらない俺が、施設を抜け出すことなど簡単なことだった
そして、そのメロディーに癒されて帰る
そんな毎日がしばらく続いた
でもそんな毎日がどうしようもなく幸せで
どうしようもなく楽しかった
『ピアノ、好き?』
ある日不意に、その少女にそんなことを聞かれた
俺は慌てた
だって、それまで音楽に興味を持ったことすらなかったのだから
『分からない、けど
君の弾くピアノは好き』
そういうと少女はうれしそうに微笑んだ
『弾いてみる?』
『え…?』

