大空の唄



でも本当の違いはそんなことではない


俺は、生まれてからそれまで自分の住む家の敷地内から出たことがなかった


敷地内とはいっても家もそれなりには広くて、中庭があった


外には何があるのだろうかと思ったことはあったが、出たいと思ったことはなかった


当時俺はその空間が世界の全てだと思っていたのかもしれない



しかし全く出たことがなかったといえば嘘になる



俺の4歳の誕生日の時…敷地の隣にある自動販売機に当時から好物だったイチゴミルクジュースを買いに行った、外に出た記憶にあるのはただその1度だけ


無意識に外に出ようなら、母親に泣きながら止められた


なぜそこまでして止めるのか…


そんなことあの頃の俺に理解できるわけもなく


ただ、アノ人の悲しむ顔を見たくなくて
俺は大人しくずーっと鳥籠の中にいた


それが普通なんだと、そう思って


その思いの中に、疑いなど微塵もなかった



そして、アノ人が母親だということも…


疑う理由などどこにもなかった