「路上ライブかなあ?」


俺が無視して通り過ぎようとしていることを察しているためか、陽が俺の服の袖を引っ張りながら言う


その先は聞かなくても分かる。陽の大きな目が“ちょっと見て行こう?”と言っている


大体予想はしていたが


「ちょっとだけだからな?」


俺がそう言うと陽は両手を上げ早足で人ごみの中に向かい始めた


それを追うように早足になる翔


この、野次馬め


そう思いながらも何故か言いなりになっている自分が少し可笑しかった


仕方ないので俺も人ごみの中に向かう


とは言っても俺も気にならないわけではない


他のアーティストから得られるものはたくさんある


ただ…やはり人ごみはなるべく避けたいのも事実だった