大空の唄



「え、えっと…春は出逢いと別れの季節ということで

この企画のコンセプトは"届けたいモノ"

イヤホン同様に桜色を始めとしたパステルカラーで…」


もっと、自信持って言えよ…


がんばっている姿は認めるが
明らかに棒読みで資料を読み上げる松田


とりあえず早く話の主旨を教えてほしい


そして一刻も早くこの場を抜け出したい


何かが起こる、その前に…


そう思ってからどれくらいの時間が流れただろうか


「そこで空君とナミちゃんには
"両想いなのに気持ちを伝えられない男女"


という設定で撮影をしていきたいと、思ってます!」


いいですか?と自信なさげに問いかけられイライラが増していく


「はい」


どうでも良い、それより主題までの説明が長すぎ


少し不機嫌に答えると松田は申し訳なさそうに肩をすくめた


「素敵な設定ね!

編集長さんの人材選びも
松田さん言うコンセプトとか設定も
私のイメージにぴったりです」


チェッ…


耳障りなほど高い声出しやがって


「がんばりましょ!松田さん」


松田はナミにそう言って手を握られると


控えめに、でも嬉しそうに口元を緩めた


「空も、がんばろーね?」