瑛さんは何かを想像したのか
少し目線を上に反らしたあと


クスクスと声を出して笑った


「でも!あたし諦めてるわけじゃないです」


今は蒼空が好き


それだけでいい


まだもっと、蒼空のこと知りたいし…


あたしのことも…いつか知って欲しい


「絢音ちゃんは強いね。」


俺はそんな風に前向きになれない


そう付け足す瑛さんにあたしは精一杯首を横に振った


「強くなんてないです
ただ慣れてるだけで…

たぶん痛み隠す術を
知ってるんです」


傷付くことに慣れなんてあるか分からない


でも言うならばコレは慣れという言葉が
一番しっくり来る気がするんだ。

「慣れるほど告白してフラれたの?」


「えっ!?そ…そういうわけじゃ…」


「意外にプレーガール?」


「だから、違いますって!!」


一度一番下まで堕ちてしまったから


きっと…あれ以上 下はない


あれ以上の苦しみも、ない…