ライブは昼過ぎから始まった
だから会場に入る前は一面青空が広がっていた
しかし会場を出てみると
既に空は赤色に染まり真上は紫掛かっていた
ジャンパーを羽織っていても
隙間から入ってくる風がひんやり冷たい
空を仰ぐと空には大きな一番星が光っている
俺は人に会わないように
俯きながら自販機まで急いだ
ガタンッ
自販機から買った紅茶を取り出す
「熱っ」
手が寒いせいかいつもより
熱く感じて左右の手に交互に持ち変える
本当ならここで缶を開けて
火照った体を冷やしていたいのだが
誰かに会う可能性を考えると
そういうわけにもいかない
楽屋に戻りたくねー
戻ったってどうせ翔の野郎に
何か言われるに決まっている
少し戸惑ったが覚悟を決めて足を踏み出した
その時、俺の目にある光景が映った
──!