大空の唄



少し遠くに見える先輩とカズさんに大きく手を振る


あたし達の姿に最初に気付いたカズさんは
よっと軽く左手を上げた


先輩は少し驚いたような顔をした後
遅れて手をヒラヒラと振った


今の驚いたような顔は何なんだろう?


少し疑問に思ったが
あまり気には止めなかった


「何か、絢音雰囲気違う?」


会話が出来るほど近くに行くと
第一声、先輩があたしの全身を
上から下に眺めながら言った


「えへへ分かりますか?」


髪を指にくるっと巻きつけながら


「どうですか?」

「えっ?」

「似合いますか?」


笑顔のまま先輩との距離を縮めると


「ち、近い近い!

…似合うよ」


あたしから逃げるように視線を反らした


似合うよって、似合うよって言ったよね!?


半ば冗談で、「馬鹿言ってんじゃねーよ」
みたいな返事を覚悟していたから


自分で聞いておきながら顔が熱くなる


「おいおい、早くしねーと始まるぞ」


嬉しさに浸ってしまっていたあたしは
整列場所近くで叫ぶカズさんの声にハッとした


辺りを見ると興奮気味にあたしたちの横を通り過ぎる
目が回りそうなほど大勢の人


SONG OF SKYのグッズを持った人もたくさんいる


さすがだな…


改めて蒼空たちの凄さを思い知ってしまう


それと同時に普段の蒼空たちが
こんな大スターだと思うと
信じられないような不思議な気持ちになった


「ぼーっとしてたら置いてくぞ」


いつの間にか少し美咲たちに近づいた先輩が
こちらを向いてべーっと舌を出す


「待ってくださいよ!!」


あたしは慌ててその後を追った