自嘲気味に、ばかだよねって笑った。 「何年一緒にいると思ってんの?知ってるよ」 すべてお見通し。やっぱり雪乃はすごい。 「でも顔も覚えてない、あの時の感覚だけを美化して逃げてるだけなんだと思ってた・・今の自分から」 そうかもしれない。 逃げてたのかもしてない。 恋する雪乃をうらやんで。 ただ過去のヒトを頼りに、恋する気持ちに臆病になっていた。 「でも、やっと一歩踏み出せたね。綾香」 そう言って雪乃にガシガシと頭を撫でられた。